外資系2.0という生き方

世界に貢献できる日本人ビジネスパーソンのつくりかた

日本企業 vs. 外資系企業【コロナ対応】1

※オフィシャルブログ移行期間中

外資系2.0という生き方 – 世界に貢献できる日本人ビジネスパーソンのつくりかた

 

新型コロナウイルスの影響で見えてきた日本企業と外資系企業の対応の違い1

 

f:id:bermuda2006:20200404123052j:plain

2020年3月影響は世界中に広がり、世界中の企業が対応に迫られています。

個人の健康や行政の対応、経済的影響等様々に議論されるべき点はありますが、本ブログのテーマに沿って、企業とそこで働く従業員の方々の業務継続について気づきを語っていきたいと思います。

 

新型ウイルスの影響がまず中国において社会・企業活動に広がってきたのは2020年1~2月、そこからわずか数ヵ月で世界中に拡大しました。

それまでの経緯においては世界で大きな騒動となっておりますが、その間日本における企業活動は日系企業外資系企業(※)では大きな差があるように思えました。

※ここではグローバル企業と呼ばれるようないわゆる大企業間の比較で考えてみました。

当然企業や業種・業態間の差はあり、更に事業部・個人の意識というレベルになれば更にそれは大きいのですが、可能な限り一般的な視点で比較してみました。

 

  1. リモートワーク(テレワーク)についての課題
  2. マネジメントの対応・メッセージ
  3. 社員に対しての指示・強制力

 

このあたりが大きく違うかなという印象でした。特に顕著だったのが「リモートワーク(テレワーク)」への対応だったのではないでしょうか。

今回はまずこの点をみてみたいと思います。

 

日系企業にみるリモートワーク(テレワーク)の対応

 

まず「テレワーク」という表現は、英語っぽいですが英語圏外国人にはまず通じない和製英語ということになります。

日本ではNHK等大手メディアでも普通に使われており定着しているのでそれはそれでいいのですが、英語でのコミュニケーションにおいては「リモートワーク:Remote Work」や「Work From Home(在宅勤務)」が一般的です。当ブログでは以降リモートワークで統一して参ります。

 

さて、まず本当に驚いたのは、多くの大手日本企業では今回の件があって初めてリモートワークを経験したという人や組織がかなり多いということです。

出社禁止でオフィスに出てきちゃいけない、在宅もしくはその他の場所で通常通り勤務しなければいけないという状況が初めてなので、企業も従業員個人も大いに戸惑っている…ということだったのではないでしょうか。

 

働き方改革」が叫ばれて数年、より柔軟性の高い勤務環境が推進されてきたはずだったのに・・・ちょっとしたパニックが発生していました。

 

大手日系企業の中には一部ベンチャー企業のカテゴリーに入るようなIT系の業種では、2020年2月の時点でいち早く社員の多くを在宅勤務に切り替えていた企業もありました。ですが、大企業と呼ばれる多くの企業はそこから数ヵ月かけて体制を整備し、2020年3月後半国内主要都市で自治体から より強いトーンで在宅勤務が推奨されるようになってなんとか対応ということになったのではないでしょうか。

 

その戸惑いは2020年4月現在未だに続いています。

 

学校閉鎖等による家族の事情や健康面の不安や戸惑いはもちろんのこと、この「リモートワーク」という働き方自体も不安の対象となっているようです。この点で私が見る課題は以下のようなところです。

 

日本企業のテレワークへの対応課題

  1. インフラが整っていない
  2. インフラを使いこなせていない
  3. マインドセットがついていってない

 

f:id:bermuda2006:20200404132427j:plain

 

インフラが整っていなかった…?

まず驚くほど多くの企業が従業員にリモートワーク可能な環境と整えていなかったということが浮き彫りになっています。私自身訪問面談が困難となった外部企業の方に、ZOOMやWebexといったツールを用いてのウェブ会議を提案しましたがびっくりしたのが本当に多くの方に断られました。その理由は「自社のPCにそれらのアプリが整備されていない」「使ったことが無い」というものでした。使い方は簡単なのでと説明しようとしても、会社のPCに新しいツールを使うのはセキュリティ上システム部門に申請しないといけない…等、様々な理由(言い訳)を聞くことになりました。

 

私は過去5年以上に渡り、社内で海外とのやり取りや、会社を離れたプライベートのプロジェクトで社外の人と、これらのツールでコミュニケーションを行っており、例えばLINEやメールを使うのと同じくらいの感覚になっていました。

 

もしアナタが新しく知り合い意気投合した人との連絡手段にLINEやFacebookを提案したとして、「ああそれ使ってないんだよね~メールでいい?」と言われただどうでしょう?少し距離があるというか、その人とあまり深く仲良くなれる気がしないという印象があるのではないでしょうか。もちろんその人のポリシー等否定できるものではありませんが、その人と今後もつながり続けようとすると少し不便を感じることは否めないでしょう。

 

多くの日本企業は正にそんな「ちょっと困った人」になっているような印象を受けました。

 

過去数年間の働き方改革の動きも限定的であって、あまりしっかりと整備されていなかったことが浮き彫りになった点があったのではないでしょうか。確かに体制整備には、セキュリティ面や法令対応を含む勤怠管理等クリアしないといけない壁がありますので、それらを乗り越えるにまでは至っておらず、むしろそれらが言い訳となり推進を阻んでいたところがあるように思います。

 

用意されたインフラを効果的に使いこなせていない

 

多くの日系大企業がそのような状況で、皆さんなかなか在宅勤務のインフラに慣れていないようです。初めて会社のラップトップPCを自宅に持ち帰り、自宅のWIFIで会社のシステムに接続し、ウェブ会議ツールを用いて同じ部署の人と打合せを行う。どれも初めての経験です。

 

今までは、PCを自宅に持ち帰ろうとしていても、会社から禁止されていました。情報セキュリティはどうすんだ?カバンに会社のPCを入れたまま飲みに行ってカバンごと電車に忘れたどうするんだ?そういわれてきたのに、今は真逆の指示に変わっているわけです。

 

慣れてないリモートでの勤務には戸惑いを超えてトラブルが続出のようです。PCから社内のイントラネットにアクセスできない、普段慣れている紙の書類ベースの業務をPC上で完結出来ない、学校閉鎖で自宅にいる子供たちに仕事を邪魔される、ウェブ会議のシステムに慣れておらずログインできない・音声聞こえない・画面共有できない…挙句の果てには、上司の承認のための捺印をもらうため結局出社する羽目になった・・・。

 

分かります。今まで在宅勤務を前提としていないオフィス・インフラと業務オペレーションだったわけですから、突貫工事でインフラだけ整えても、普段と全く違う仕事の進め方には戸惑うはずです。これらのインフラを使いこなせない人が多いようで、やっぱりクライアントとのウェブ会議を断られる理由になっています。

 

マインドセットの転換が追いついていない

 

これらのオフィス・インフラ整備を進める企業では、それを実際に使う多くの従業員の方々もマインドセットの転換も十分に進んでいないようです。

 

企業側が行政からの指示に受け身姿勢で整備したものに対し、従業員の皆さんも「一時的な」対応とみなし同様に受け身姿勢の人が多いようなのです。

 

世界的なトレンドをみると、リモートワークを含めて人々の働き方は確実に変化してきています。この流れはグローバル化の流れに併せて止められるものではないはずです。ですが、多くの大手日本企業やそこで働く日本人ビジネスパーソンはそれに気づかず、いやなんとなく気づいているけど見ないフリというのでしょうか。「確かに世の動きはそうかもしれないけどウチの会社は‥・」という声を実際に耳にしました。自ら変えようという姿勢で会社に提案するというような人が多くないのも日本企業の特徴かもしれません。

 

リモートワークだけでなく、社内のコミュニケーションも未だメールが中心で、世界的に一般的になりつつある、グループウェアやビジネスチャットを取り入れている企業は日本ではまだ少ないようです。ベンチャー企業等には多く見られても大企業ではまだまだだと聞いています。きっと取り入れたところで組織の上総部のいわゆる「お偉いさん」たちが使いこなせなさそうというのがあるのでしょうか・・・。

 

今回背中を押されるように急激に加速した日本企業のリモートワーク体制整備をはじめとする一連のオフィスインフラ確立とプロセスの見直しは、一過性のものではありません。新型コロナウイルスの影響がなくても徐々に進められていたはずのものなのです。リモートワークが馴染まず「やっぱり前のやり方がいい」ということで、事態の収束と共に考え方が基に戻る企業や個人ビジネスパーソンも多いのかもしれません。そうであってもこれは避けられない世の流れということで、考え方をしっかり転換しないといけないときに来ているのではないでしょうか。

 

むしろそう考えることで、自社のインフラや自身の働き方を見直し、より積極的に自分にとって最適の働き方のスタイルを考えるきっかけにしては如何でしょうか?

きっと無理やりやらされている感をもってリモートPCやウェブ会議システムを使わされている…という状態から、しっかり前向きに使いこなせるようになってくるのではないでしょうか。

 

外資系企業はどうなの?

f:id:bermuda2006:20200404131259j:plain

 

多くの日系大企業と対照的に、一般的な外国資本のグローバル企業(いわゆる外資系企業)では、かなり以前からリモートワークは浸透・定着していました。多くの社員がオフィスに固定席を持たず、ラップトップPCでオフィスの様々な場所、そして自宅を含むオフィスの外でも全て完結するインフラと業務プロセスが確立されてきていました。オフィスはもはや、仕事するために出勤しなければいけない義務的な場所ではなく、目的をもってそこに行くための場所に変わっていたのです。

 

一部の業務や部門では今回の件で影響を受けているところはあるようですが、日本における多くの外資系企業では、オフィスへの出勤禁止という状況に即座に柔軟に対応できていたいようです。少なくともそれを十分に可能とするインフラとオペレーション、そして従業員個人のマインドセットは確立されていたと思われます。

 

ですがそんな外資系企業に勤める方にお聞きすると、どうやらリモートワークにはそれ以外の課題があるようです。

 

日本企業とは全く違ったレベルと視点で彼らは大きな課題に直面しているようです。

次回はその点を確認し、日本企業との比較からみえてくるものをみていきましょう。

(次回に続く…)